“新規事業”ではなくて“一つの事業”とするために、“海外有識者の生の声”は非常に重要です。今、議論されていることや自分たちが認識できていない技術や情報を得て、プロジェクトを着実に進めていきます。
積水化学工業株式会社 様
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『OIカウンシル』利用者インタビュー

『Open Innovation Council (OIカウンシル)』は20年以上に亘り850社を超えるグローバルトップ企業の課題を解決してきたナインシグマの技術コンサルティングノウハウを活かし、海外の技術者・専門家・潜在顧客などの声を短期間で多数集めることができる独自の業界エキスパートプラットフォーム。 積水化学工業株式会社様には、エキスパートへ質問し3日で回答が得られるOIカウンシルのサービス『OIC direct(オーアイシー・ダイレクト)』をご利用いただきました。今回、その経緯や結果について詳しくお話いただきました。

まずは積水化学工業様におけるお二人の業務・役割などをご紹介ください。

佐野さん:私はコーポレート部門のうち、新規事業開発部に所属しており、新規事業開発の実務にあたっています。本年1月に始動した弊社にとってまったく新しい技術領域に進出するプロジェクトにおいて佐々木と一緒に取り組んでいるところです。

佐々木さん:私はコーポレート部門の経営企画に所属していて、通常業務としては、事業創出の企画や、スタートアップ連携(Corporate Venture Capital)などの外部連携を主導しています。その中の一つ、佐野と進めている新規事業プロジェクトにおいても、全体運営のサポートや外部連携の窓口としての役割を担っています。

現在まさに進行中の新規事業開発について、ナインシグマの「OIC direct」をご利用いただいているところですが、なぜ「OIC direct」を利用されようと思ったのか、期待するところについて教えていただけますか?

佐野さん:「OIC direct」利用の発端は、「海外有識者の生の声を聞きたい」というニーズです。新規事業ということで、当然、社内の知見は十分ではありません。業界コネクションも十分にない状況から企画立ち上げをしていますので、有識者に話を聞くには社外を向いていくしかありません。それでも国内であればまだ何とか伝手をたどるという方法もありますが、海外の有識者にまでは自分たちではコンタクトしづらいという課題もあり、「OIC direct」を活用しようということになりました。

新規事業開発といっても、その規模やフェーズも様々です。皆さまのプロジェクトは、どういった性質のものでしょうか?

佐々木さん:自社にとってはまったく新しい領域に挑戦するという大きなテーマについて、プロジェクトチームで専門的に取り組んでいます。そのため、多様な角度から検討を進めており、その領域のトレンド、技術の切り口、マーケットへはどうやって入るのかといったような本当に様々な項目について検討する必要があります。まさにアーリーフェーズです。

アーリーフェーズというと、デスクトップ調査や市場本にあたるなどの方法があります。「OIC direct」の使いどころはどこにありますか?

佐野さん:「OIC direct」の良さは、「リアルタイムな今の有識者の声が聞けるところ」ですね。いわゆる調査資料はありますが、情報がまとまるまでに時間がかかっていることで確実にタイムラグがあります。

佐々木さん:デスクトップ調査でいえば、例えば、今の時代はテキスト生成AIなどのツールに聞いてもざっくりとした雰囲気がわかったりもします。対して「OIC direct」に期待していることは、その情報の鮮度や生の声であるからこそのリアルさですね。また、コンサルティングファームに頼むという選択肢もあるかもしれませんが、費用面や依頼内容のフレキシビリティの点で難しかったりもします。その点、突発的な相談や細やかな設計が可能なところが「OIC direct」のよさではないかと考えています。

直近では5月以降8月にかけて3トピックの調査でご利用いただきました。今のところアウトプットは皆さんのご期待に応えられていますでしょうか?

佐々木さん:これまでの調査では、それぞれ回答件数は20件程度で、期待にかなうものでした回答の内容や濃度については概ね満足しています。改善点があるとすると、使い方の工夫が必要だと感じています。例えば、まったく新しい領域ということで、自分たちの専門性の不足もあり、得られた回答ボリュームや内容を十分に咀嚼し処理しきれていないところもあります。また、何度か利用してみて、質問のスクリプトを適切に作るスキルがあってこそ、より使いこなせるようになるだろうということがわかってきました。ただ質問を投げても、自分たちの求めている答えが即座に出てくるわけではないですね。「追加質問機能」を活用して掘り下げるまでの一連の質問を通じて、欲しい回答にたどりつける可能性が高まるのだと思います。

一度投げた質問について5人までフォローアップ質問のできる「追加質問機能」は、掘り下げの必要性を想定した「OIC directの特徴の一つです。質問の段階ごとにその設計がポイントであるという気づきについて、皆さんの体験を詳しくお聞かせいただけますか?

佐野さん:まず、こちらの質問が漠然とすると当然ながら回答も漠然としたものが返ってくる、ということは早々に学びました。私たちも、機密情報に絡むということで情報の出し方に慎重になりますが、より具体性のある回答を得るためには、自分たちでもある程度の情報を出さなくてはなりません。そういった観点で、ナインシグマの担当者からアドバイスをもらいながら質問の仕方を工夫するようになりました。また、「追加質問機能」の活用は、より狙っている情報を引き出すことに近づくのに不可欠ですが、そのタイミングも重要だとわかってきました。1回目の回答を得てから、その後社内での検討にどうしても時間がかかってしまい、追加質問までの間が空いてしまったりするのですが、そうすると回答者も機を逸してしまっている様子が見られるので、なるべくタイムリーに利用するのが重要だと感じました。

これまで実施した3つの調査の中で、もっとも有用だったと思われたものについて具体的に教えてください。

佐々木さん:開発中のある技術コンセプトについて調査した際に、即効性というよりは将来のネタとして役立つような、長期ロードマップのキーワードになるような具体的な技術や機能、特性に関する情報が得られたことがあります。自社内だけでは着想にすら及ばない内容であり、「今後こういう機能がいるだろう」「今後これはやる必要があるよね」というヒントが数々得られたのは収穫でした。

佐野さん:長期ロードマップの作成に関して、資料ベースの情報やそれに基づく全体の概要的なものは、当然私たちも把握しています。その上で、「生の声」として、実際に今議論されているホットトピックスや、自分たちが認識していなかった技術情報を聞くことができたのが、一番他のサービスと違うところだと感じました。

今後、御社内の新規事業開発において、どのようにご活用いただけそうでしょうか?

佐々木さん:まず一番のフィルターは「海外に聞くべきかどうか」ですね。そのうえで、フェーズについては様々な使い方があると思っています。一つには、コンセプト段階で、その構想についてヒアリングするという活用方法です。また、今の私たちのプロジェクトがそうであるように、アーリーとはいえコンセプトはできていて、ある程度開発も進んでいるというところで具体的な質問をしていくのもいいですね。例えば、技術面では、材料設計をどうするか、どういうレシピができるかという、具体的な数字で回答を求める質問や、参考となる公開論文や特許へのリンクを伺う質問、マーケティング面では、海外のサプライチェーンやキープレイヤーについてバイネームで直接回答を得るような使い方をしたいです。トレンドについてのヒアリングも試してみたいですね。

佐野さん:社内の別のチームから問い合わせを受けたりもしています。事業開発なり製品開発なり、新しい企画について社内の稟議を進める際に「生の声」は重要視されます。本当に顧客がいるのか、顧客に価値提供ができるのか、といったことは必ず問われることですので、そういった想定ターゲットに対し「実際にヒアリングしました」と言える情報が手に入るのはとてもいいですね。新しい企画を進める部署やチームでは大いに活用できると思います。目下のプロジェクトはまだまだアーリーフェーズではありますが、いつか「新規事業」でなくて「一つの事業」とするために、その立ち上げを着実に進めていきたいです。

皆さんの新規事業開発プロジェクトが前進していくように、今後もサポートさせていただきます。本日はありがとうございました。

・お話いただいた方:積水化学工業株式会社
コーポレート 経営戦略部 Senior Manager 佐々木 拓 様
コーポレート 新事業開発部 Manager 佐野 方敏 様

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