御社は、オープンイノベーションを組織的に推進されている中で、ナインシグマの『OIカウンシル』もご活用いただいています。私たちは、「社外の“技術”」だけでなく「社外の“知見”」がもっとみなさんのお役に立てるのではと『OIカウンシル』に取り組んでいますが、御社ではどのような場面で『OIカウンシル』を利用されているのでしょうか?
現時点で一番多く活用しているのは、開発した素材の別の用途への探索です。既存商材の別の用途への探索にも用いています。一方、自分たちが想定した用途について、確認も含めた「裏取り」の目的で活用することもあります。
『OIカウンシル』の魅力はどのようなところにありますか?使っていなかった時と比べて、何が有効でしょうか?
社外エキスパートからの多角的な意見が1ヶ月という短期間で数多く集まるのが魅力ですね。数名からの意見であれば、自分たちのお客さまやそのつながりに頼ってお伺いすることもできますが、幅広く一気に情報を集めることはなかなかできませんから。
特に、開発素材の用途探索においては、取引先のコネクションだけではエンドユーザーにまで繋がりにくく、顧客の声を聞く機会はなかなかありません。『OIカウンシル』を使うと、エンドユーザーとなる方がたからのご意見も集まりますので、とても有効です。
また、海外のエキスパートにアクセスできる点は大きなメリットです。以前は、国内の情報は集まっても海外の情報にはアクセスしづらいという課題を持っていました。それにはもちろん、言語の壁もあります。『OIカウンシル』を利用するようになり、システマティックにクイックに海外からも意見を集められるようになりました。
自分たちでは拾えないニーズにリーチできる点は魅力です。
『OIカウンシル』を利用して「面白いアイデア」が集まった後、社内ではどのような動きにつながりますか?「面白い」だけで終わってしまわないようにするにはどうしたらよいでしょうか?
『OIカウンシル』というツールの使い方は、私たちオープンイノベーション推進グループが現場にレクチャーしフォローします。しかし、商材の特性に詳しいのは研究所(現場)のスタッフなので、「面白いアイデア」が出てきたとき、それをどう調理するのかは現場スタッフの知識やモチベーションによります。そのアイデアが現場に「ハマる」時、プロジェクトは適切に進んでいくと考えていますので、常に現場を尊重していくことを第一に考えています。
例えば、あるテーマでは、それまでまったく意図していなかった分野での可能性が見えたため、ナインシグマの「社外技術探索サービス」を活用してその分野の企業を複数社ピックアップし、パートナー候補としてアプローチするところまで進んだこともあります。弊社でナインシグマのサービスをフル活用した事例ですね。
これまでの経験を通じて、オープンイノベーションはトップダウンだけではなく、現場が「自分ごと化」して進めていくことが大切とわかっていますので、推進グループとしてはサポートからの「引き際」を意識しながら、現場が自立的にプロジェクトを進めていけるような連携を行なっています。
『OIカウンシル』を使うことで、社内の意識や行動は変わりましたか?
社内にオープンイノベーションの風土が徐々に根付いてきたという実感があります。新規事業の検討や用途探索の場面で、「ナインシグマを使おうか」という会話がなされるようになるなど、「社外のリソースを使う」ということが選択肢の一つになってきました。もちろん社外のリソースを使うことに消極的な意見もありますが、使ったことのあるスタッフが増えてきて、メリットの認知も広まってきていますね。
『OIカウンシル』に興味を持たれている企業様に向けて、メッセージをいただけますか?
弊社は、石油事業からのポートフォリオ変革を図るための試行錯誤の中で、オープンイノベーション推進グループと現場とで連携する体制に行き着き、2年半ほど経ったところです。新規事業を創出していくためには、経営主導やトップダウンだけではなく「現場を尊重し、現場に即してやっていくしかない」というのが最も重要な気づきであり成果といえます。「何か新しいことをやらなくてはならない」という時、外部の意見を取り入れながら、現場の知識とモチベーションを生かして地道にコツコツと取り組むことが、社内にオープンイノベーション文化を根付かせていくことにつながるはずです。